時宗 東福山 西光寺

磐田市ミラクルパワー街道物語『逢えるかもしれない』のご案内です。時宗 東福山 西光寺

磐田市ミラクルパワー街道物語ロードストーリー
『逢えるかもしれない』

(皆で創るリレーストーリー)

一章

友人の結婚式で久々に地元・磐田に帰ってきた樟子は青々と茂る楠木をおもわず見上げた。駅前にある大きなその木は精一杯に腕を広げ、彼女を迎えているようだった。一陣の風が彼女の頬をなでる。シャラシャラと葉の揺れるかすかな音が聞こえる。樟子は「ただ今、徳大寺」と微笑んだ。
この街には妖精の宿る大木が生き、その樹に祈りを込めると願い事が叶うという伝説があった。駅前の大楠がそのひとつである。七百年もの昔からこの地にあり、人々の願い事をかなえてきた。樟子は大楠の妖精を「徳大寺」と呼んでいたのだ。

二章

願い事をした青春時代を思い出しながら、駅から国道へと続く商店街をぶらぶらと歩いた。昔と変わった街並みの中を、思い出をひとつずつ拾い集めるように実家までの道のりを歩く。
十五分ばかり歩いた頃、ふたつめの懐かしい大楠が目に入ってきた。学生時代より少し大きくなったような気がする。この大楠は寺の中にあった。バスに乗ると気づかずに通り過ぎてしまうほど、その寺は山門の奥にひっそりと佇む。西光寺だ。気がつけば、引き寄せられるように樟子は山門のほうへ向かっていた。

三章

寺に入ると住職が快く迎えてくれた。この寺には、一本のナギの木が大きな楠木に寄り添うようにすっくと立っている。縁側に座りながら大楠とナギの葉の揺れる音を聞き、自分を包み込むように空に広がる大木をただひたすら眺めた。眺めているうちに、樟子は喧騒から解き放たれ、無心になる。穏やかなひと時だ。「まさこ、ありがとう。」
西光寺の大楠は五百年以上という時間をこの寺とともに生きてきた。ナギは二五〇年生きてきた。これから先もそうだ。この大きく強く優しい神秘的な樹々は、多くの人を癒しつづけてきた。大木は悠久であり、妖精はここにも宿っていた。もうメルヘンな夢を見る年頃ではないと思う樟子であるが、これらの樹々には本当に妖精が宿っているのではと不思議にそう思われた。樟子はナギの妖精を「まさこ」と呼んだ。

四章

樟子の様子を見て何かを察したのか住職が話し掛けてきた。ナギは縁結びの樹であり、この樹から力を授かり、恋人ができた人、結婚した人、受験に成功した人、大事な試合に勝った人もいるらしい。いつしか樟子は高校時代を思い出していた。磐田を出るときに、心の片隅にしまった思い出を。あの頃想いを寄せていた彼は今どうしているのだろう。想いを告げられなかった心残りと、ずっと心に秘めていた願い事が樟子の足を大木へと向かわせる。「もう一度会えるかもしれない」という淡い期待を込めながら、半信半疑で樹々に手を当てる樟子であった。その瞬間、かすかに木の葉を揺らし吹いた風がやさしく背中を押しているように感じた。
樟子は思った、妖精と私の物語が……いまはじまったと。

五章

樟子の恋の行く末はどうなるのでしょうか。

物語の続きは、

大楠やナギを実際に訪れた皆さんが

以上
制作 静岡産業大学

あとがき

宗教法人西光寺と磐田市にあります静岡産業大学は、
このたび縁結びのパワースポットとして
全国的に知られております東福山西光寺を題材とした、
皆で創るリレーストーリー
『磐田市ミラクルパワー街道物語ロードストーリー
を企画、
それに基づいたマスコットキャラクター、
”徳大寺とまさこ”を完成させました。

これは、
日頃より大学にて街づくりを研究されております大学生たちのアイデアを始まりとして、
東福山西光寺が静岡産業大学受託研究取扱規程に基づいて契約、
キャラクターを通じて磐田市を全国的にPRし、
磐田市を訪れていただいた多くのみなさまに
磐田駅から旧東海道見付宿にあります西光寺まで、
駅前商店街ジュビロードを歩いていただき商店街の活性化を図るとともに、
若い人たちに未来への期待感をもって人生を歩んでほしいという
メッセージをとどけることを目的として共同制作されたものです。

さて
この物語を読まれたあなたはどのような感想をお持ちになりましたか?

物語に登場する主人公の樟子は、故郷にあります西光寺を訪れたあと、
その先にどんな結果と人生が待っていて、物語の続きを迎えることになるでしょうか。
いまを生きる大学生たちが考えたこの物語に終わりはありません、
なぜなら第二幕の主役は、この物語を読まれたあなた自身だからです。
どうか、
あなたの人生では…あなたが主人公となって、
あなたが創るこれから先のストーリーがハッピーエンドになりますように、
そして、
この街を訪れるとあなたに力と勇気と行動力をあたえ、
優しい風でそっと、
明日へと背中をおしてくれる妖精たちにいつでも出会える、
そんな楽しい夢のあるワクワク感いっぱいの磐田市でありたいと、
心から願っております。

平成29年11月1日 東福山西光寺住職 下 村 恒