和尚のひとりごと ”心の行事”
今年も早いもので春のお彼岸の季節を迎えました。
秋のお彼岸とともにいただいた命に感謝、
その命を授かった、
つなげて下さった先のみなさまに感謝、
そしてつぎの世代へとつながる
命のバトンを渡すお役目にえらばれたことに感謝。
そのほかにもたくさんの感謝を伝える、
生きている喜びをあらためて感じるお彼岸。
日本だけが育んできた日本だけの
『心の行事』
です。
あなたには、
そんな感謝を伝える場所がありますか?
そこに眠る人たちが確かにこの世に存在し、
精一杯生きた証を
あなたのその身体に刻んで
いまのあなたを生きているのです。
あなたが生まれてきた瞬間、
長くつながった不思議な糸があなたの手によって
どんどんとのびていき、
またひとつ新しい命へとつながっていく。
そんな脈々と流れる時の船に人は乗り
人生という旅を続けます。
役目があるからこそ生を受けて産声をあげる。
なんて素晴らしいことでしょうか。
記憶はリセットされ、
仏さまより課せられたお役目のことは
遠くへと消えていきますが、
その答えを知らないだけに、
自らが
迷い彷徨い苦しみながら探しなさいということでしょうか。
まさに生きるとは、
目的を探しながら旅を続けるものですね。
先を生きた人たちも同じ、
その時代時代を生きて、
答え探しの旅を続けられた。
きっと仏さまのこと、
人生を終えて息を引き取るその瞬間までが
自分自身を試させられる修行なんでしょう。
答えの大切さより、
いかに迷い
人の温かさや生かされている事に気がつくかどうか、
そして同時に、
その行程のほうに生きた証が刻まれ歴史となる。
その歴史に心の価値がある…そう信じている私です。
一人一人の生きた歴史を残したものが、
あなたのご縁のあるお墓のなかに納められております。
…あなたも私もいまの歴史を生きております…。
お時間がありましたなら、
その場所に行きましょう。
お墓が遠くて、
時間がなくて、
たとえ行くことができなくても、
それぞれの場所で偲び感謝の念を持つことはできます。
春分の日をはさんで前後三日間、
この一週間は、心で合掌をお忘れなく…和尚のひとりごとでした。
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