和尚のひとりごと ”これからも このがれきと共に そしてみんな生きている”
東日本大震災が発災してより、
今日で五年を迎えました。
被災されましたみなさまに心からお見舞いを申し上げます。
そして、
犠牲となられました尊い命、
現在も行方不明となられておられますみなさまに
心から哀悼の念を表します。
私も震災半年後の被災地を訪れる機会をいただき、
ご供養のために
いまできることをと現地を訪れました。
磐田市より震災の町までバスでの往復。
まだまだがれきに埋まる町、
地盤沈下で海水がはいりこみ海の魚が泳ぎまわる横断歩道の水たまり、
一面に広がる空間と草原。
確かに人々の営みがそこにあったはずの建物の景色が、
遠くまで見わたせる景色へと変わり、
時間が止まってしまった空間が風に揺らいでおりました。
そのとき眼前に広がった無機質な惨状を
いまも鮮明に覚えております。
私一人の力などたいしたものではありませんが、
津波が押しよせたまさにその場所に立ち
お経を終えたあと、
足もとに流れ着いていたがれきをそっと持ち帰って、
西光寺の本堂に納めさせていただきました。
「持ち帰って毎日お経を聞かせてあげたい」
自然と手には、
がれきをもっておりました。
五年という節目は、
まだまだ通過地点、
一年一年の積み重ねが五年を経過したに過ぎず、
今日からまた始まりであり、
終わることのない心の傷を背負って、
被災されたみなさまは、
今日からまた明日を信じて生きていかれます。
遠く離れた静岡県ではありますが、
これからも私ができる私らしい奉仕の形、
ご供養を続けていきたいと思います。
本堂にかかげてあります
現地で撮影した写真も五年の月日で色あせてはきましたが、
このがれきと共にお経を続けていきます。
今日、
「日限のお地蔵さまにお願いに行きたいのですが時間が作れなくて、
和尚さん、私の思いを電話口でお伝えしますので、
お地蔵さまの前で私に代わってお参りしていただけますか」
とお電話でご相談がありました。
そのまま電話をもってお地蔵さまの前に移動して、
私の携帯から聞こえてきますお願い事、
真剣そのものが伝わってきます。
お若いお嬢さんの声、
しっかりとお地蔵さまにとどきましたよ。
お若い人たち、
みんな生きているんです、
明日の自分を、明日の日本 を信じて…和尚のひとりごとでした。
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