和尚のひとりごと “ユーミンが語りかけてくれた…ひこうき雲をさがしながら”
九月、
稲刈月の週末を迎えております。
台風十三号が去って、
この辺りもなにごともなく過ぎて、
秋の装いが近づいている予感を、
駆けめぐる
風たちの心地よさに肌も感じている
日曜日のひとときです。
空を見あげると
浮かぶ雲も悠久の流れに乗って、
ゆっくり
空の旅を楽しんでいるようです。
こんなときは、
心を休めに
お気に入りの場所へと
出かけたくなるから不思議です。
みなさまにも
お気に入りの場所は…ありますか?
あればそこへ、
なければ探しに。
遠くまででかけなくても、
以外と近くにあるのかもしれません。
今日の私は、
いつものスターバックスではなく、
真面目にお寺で過ごし、
午後のひととき、
本堂の椅子に座っております。
堂内の風鈴も風に揺れて響き、
ときおり強めの風が悪戯をしたそうで、
廊下の奥の奥まで
かけっこをしているようです。
その風に乗るように、
今日のお寺に流れております
BGMは、
松任谷由実さん。
ユーミンの描く
歌詞の世界観が縁結びのパワースポットとかさなり、
完成度の高い音階に
仏さまたちもステップをしているような
嬉しさです。
ここに座っていても、
ソーダ水も港が見える丘公園もありませんが、
この風たちも海を旅して、
素敵な港の様子を伝えたくて
大地を過ぎていくのかもと、
そんなことを思い浮かべる私になって
木々の揺れるやさしさに
耳をかたむけております。
今日は、
お参りのひとたちも少なめで静かな境内。
迎える参道も
物足りなさそうに佇んでおりますが、
風に飛ばされた落葉に癒やされながら、
真上の青空を眺めております。
時々、
雲の合間から陽射しが届き、
照らされた参道は、
木々の影を映して遊ぶ、
その楽しそうなこと。
今日は、
お休みだった鐘も
明日のためにいい音を響かせようと、
動かないその姿にちゃんと、
実は、
支度をしているのでしょう。
さてこの街も
伝統的なお祭りが近づいてまいりました。
今年は、
いつものように賑やかに勇ましく、
でも、
年々参加されます人も少なくなり、
新興住宅地で人も増えた所ほど、
お祭りには興味を示さない。
それが、
伝統の神事を守りつなげていく難しさでしょうか。
守りたい昔のひとたちと
関心のない新しいひとたちの狭間で、
さてさて、
そのときを待っているお社のご神体さまは、
どんなお気持ちで
待っておられることでしょう。
そのうち、
高齢化と少子化で、
数百年の形も変わり、
落葉のように淋しさが漂う
お祭りになっているでしょうか。
五穀豊穣の喜びも薄らぐ現実に
直面する日も、
そう遠くはないと感じている、
神道ではない仏教に生きる私なのです。
神道さんたちは、
大変だなと。
私たちは、
お祭りどころか、
お寺そのものから
人々が信仰より離れていく時代にはいり、
抱える課題とお先真っ暗な道は、
神であろうが仏であろうが共通かもしれません。
いま、
季節にとり残されました
アゲハチョウが、
私の周りを舞って、
外へと飛んでいきました。
きっと、
時代が変わろうとも
どこまでも続いてほしいこの穏やかさが、
神と仏、
共に説きたい教えなんでしょう。
それを私に教えたくて、
このタイミングで来てくれたようです。
あなたが住んでおられます街にも、
お祭りが近い…お便りが届いているでしょうか。
いよいよ秋は深まり、
季節の夜長にひとは…
なにをする人ぞ…でしょう。
とりあえず、
ユーミンが語りかけてくれた
“ひこうき雲”を
ここからさがしてみたいと思います。
数ヶ月前、
ひとりで出かけた
松任谷由実アニバーサリーコンサートでいただいた、
あのユーミンの元気さと、
ふたたびの余韻を思い出しながら…和尚のひとりごとでした。
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