和尚のひとりごと “結の森に背中をおされながら”
十月も一日一日、
時を刻みながら進んでおります。
そろそろ今週末では、
各地で執りおこなわれます
秋のお祭り、
神事も終わりを迎えるでしょうか。
お囃子が聞こえなくなり、
本格的な秋模様につつまれていく…
これからの時間です。
海外からの旅行者も増えはじめて、
各地の観光地では、
その様子を伝えるニュース等で、
異文化に染まる様子が映しだされております。
暖かい時間と、
秋の冷たさが交差しながら、
もうすでにこの街の何処かでは、
色づく紅葉が姿を現しているのかもしれません。
秋雨の一粒が気温を下げて、
もう気がつけば十一月が近いことに、
心とカラダもなにをしようかと、
楽しいことばかり思い浮かべる私です。
さて、
予定していたスケジュールより
遅れがちではありますが、
お寺で計画の実施を進めております
樹木葬の進捗状況。
完成のイメージのもと、
たぶん
一番のハードルであろう
周辺住民と地元の自治会としての承諾。
いまは、
ここまで進めてまいりました。
お隣のお寺さまも霊園を計画されて、
美しく敷地のなかに
墓園造成の支度をされておりましたが、
やはり、
新しい墓地造成予定地の周辺に
お住まいのみなさま、
そして、
地元の自治会の了承をいただくのに
とてもご苦労されておりました。
最終的には、
地元の自治会長さまの印鑑がもらえず、
自治会としての了承が得られないまま、
いま新墓地の計画は、
一旦、
工事も途中で止まっている様子です。
そんな経験を聞いていたからこそ、
私のお寺では…
どうなるかと心配しながら、
そして、
反対されることもあると想定しながら
地元の自治会、
新しい墓地の隣地となります
二軒の方々にお願いをして、
なんとか私の思いが叶うよう丁重に、
まずは、
地元自治会、
隣地にお住まいの一軒の方に
お願いをいたしました。
おかげさまで、
自治会長さまからは、
スムーズに
異論なくご承諾を得ることができましたが、
隣地の方からは、
最初、
『反対です』
という言葉を頂戴し、
私ひとりではなく、
息子と娘にも相談しないと…ということでした。
承諾書をお預けして、
よく相談なさって下さいと伝えながら、
私の心のなかでは、
もし反対されて
承諾がいただけないなら、
そのときは、
三顧の礼、
それ以上に通って、
そして、
将来のお寺を存続させるために、
六十歳を過ぎた私が賭けた事業として
覚悟を決めた今回のお願いと、
何回でも頭を下げようと
心は定まっておりました。
そのあと、
お寺に戻りましたなら、
お家の方がお寺にお見えになり、
さきほど反対と話されていた
その方が玄関に立って、
手の指で丸をつくりながら、
『息子が仕方ないだろうと言っているので
承諾することにしました』
と伝えて下さいました。
私は、
うれしくてその方の両腕を軽くつかんで、
『めっちゃうれしい』
と涙がこぼれそうになりました。
やっぱり、
またお世話になることだって
あるんだから、
普段から
地元の町内会や近隣のみなさまとは、
ちゃんと
私が協力できることはやろうと
思いながら過ごしてきた四十年近く、
それが正しかったと思いました。
ご承諾をいただく、
あとお一人は、
現在、
東京にお住まいですので、
このあとお願いをすることになりますが、
やっぱり三顧の礼だけは…
忘れることなかれと、
自分に言いきかせている私なのです。
そして、
昨日、
インスピレーションで浮かんだ言葉、
【結の森】
…に背中をおされながら、
叶うまで慌てず、
まだまだ覚悟の道を歩いてまいります…和尚のひとりごとでした。
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