和尚のひとりごと “私から息子へ…息子からわが子へ…その名前…『侑』のもつ意味のように”
大型連休が近づいてくる週末、
いい天気に恵まれました土曜日です。
いつものように私の定位置、
本堂に座って
境内を眺めておりますと、
ほんと、
おだやかな秒針が刻まれていくようで、
空を飛ぶ鳥たちも自由に舞い踊り、
羽と遊ぶ風の作る道を
目的地へと向かいながら進んでいくようです。
最大十日間の連休。
みなさまは、
どのような過ごし方をされるのでしょうか。
テレビを見ておりますと
ハワイツアーの募集もはじまり、
少し少し
海外への扉が開かれてきたようです。
ふたたびの四年ほど前の風景が帰ってくるでしょうか。
日本を訪れて下さる
観光のみなさまも増えて、
日本列島各地が賑わいを見せるそのときまでは、
まだまだ
静まりかえった街の景色なのでしょう。
さて、
昨年の十二月二十八日に生まれました
初孫のためにと、
見付凧の会代表の鈴木義昭さまより、
初凧を奉納していただきました。
お隣の浜松市ですと、
男の子のお孫さんが誕生されますと、
五月に開催されます
浜松祭りにて凧があげられて、
大きく育てと
町内のみなさまに祝福をしていただける
風習というより、
もうこの季節の風物詩となっておりますが、
天竜川を東へと渡ったこちら側では、
そういう風習もあまりなくて、
またあったとしても
歴史のなかに消えていったのかもしれませんが、
近年、
凧をあげる風景に
出会うことがない磐田市周辺です。
西光寺のお檀家であります鈴木さまは、
その遠い記憶として忘れられた
見付の凧あげの風習をよみがえらせようと、
何年も何年も
凧を作りつづけていまに至ります。
菩提寺の和尚さまの初孫、
しかも
男の子ということで
“是非お祝いの凧をあげさせてください”
と手作りで手書きの凧を贈って下さいました。
古くより
お子さんが誕生されたときの図柄であります
鶴と亀、
そして松竹梅。
波高き海原を越えて成長していく
おめでたい世界観がそこに描かれております。
あとは、
四月三十日に
糸目付けの行事を執りおこない完成となります。
完成いたしましたなら、
五月の連休、
天竜川をのぼる龍の如く、
見付凧の会のみなさまにより
天竜川の大空へとあげて下さいます。
それまでは、
西光寺の本堂、
内陣に飾らせていただいて、
未来の四十一代目の住職予定者として、
将来そこに座るであろうと願う
住職の席に置かせていただきました。
こうして、
お檀家さまにも祝福されて、
大きく成長した暁には、
私から息子へ、息子からわが子へ。
その名前…『侑』のもつ意味のように、
人のために有る存在として、
お檀家さま、
そして地域と社会のひとびとに寄り添って、
心の導き、
そして、
狭いお寺の世界だけではなくて、
外の世界に目を向けながら大きな世界で育まれ、
その役目を果たしてほしいと祈る私です。
そのころは、
もう私もこの世を去って、
歴代住職のひとり、
三十九代目として…
遠く仏さまの世界から
眺めさせていただくことにいたしましょう…和尚のひとりごとでした。
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