和尚のひとりごと “生きるっておもしろいよな”
春の雨をはこんだ台風一号、
遠く太平洋を進み、
列島から離れていきました。
不安定な空模様が雲を呼び、
波は遙かな旅を終えて、
この近くの海岸に到着していたでしょうか、
返す波に思えば
遠くへと来たものと。
砂に消えた旅路は、
また人知れず
忘れられてしまうのでしょう…
賑やかな声と足跡に遊ばれながら。
こうしてまたひとつ、
季節の秒針を刻んで
私たちを誘う風を贈ってくれるのでしょうか。
我が人生も振りかえると、
故郷から離れてここにいる不思議さ。
でも生きている私。
来週になりますと
地元の中学校でふたたびの授業。
まちなか先生のひとりとして、
“生きるとは”…をテーマに
教壇の時間が待っております。
だれもが振りかえりながらいまを感じて、
大人の楽しさも
辛さも知るまだ見ぬ未来。
そこには、
どんな物語が語られて、
興味をひく出来事が現れることでしょう。
そのひとつひとつを
無駄なものと捨てきってしまうのは、
もったいないこと。
そのすべてに意味があり、
理由がある出来事と知ってほしいから。
大人になればなるほど自由は狭まり、
気がつけば
いつも同じ処をウロウロしているだけの私。
まるで人生の迷路に迷いこんで、
もがきながら出口を求めるだけの私。
どんどん先へと
進むことだけが答につながるのではなくて、
ひきかえす答もあることに気がついて、
もう一度やりなおす冷静さ。
生きるって、
ひとそれぞれの生き方がありますから、
『こうだよ』
とおしつけるものでもありませんし、
ひとには、
必然的に歩む道が生まれて、
なんとなくから
深くはいっていく経験を積みかさねる。
いまを生きている中学生に、
まだわずか
十数年の人生をどう感じて、
まだ見ぬ未来の私を語れるように導くのか、
授業のプレッシャーがありますが、
そんなときは、
こころのcoffeeタイム。
笑って、
たとえば、
昔々、
君たちの年齢の頃は無口だった私でさえ、
いまもこんな風に
上手に話ができない私だって、
ここまで生きて来たからこそ、
みなさんの前に立っている。
『だから、和尚さんは、いろいろあって、
生きるっておもしろいよなと思うんだ』
…と話すことにしよう…和尚のひとりごとでした。
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