和尚のひとりごと “芒も忘れないでね…”
週末の日曜日を迎えました。
相変わらずゆったりと、
街とはちがう
時間の流れにつつまれております。
一分一秒、
基本的には同じものなのですが、
ずっと
ここに住んでおりますと、
何故か…
ゆっくりと時間が進んでいく
感じがいたします。
風もおだやかで、
微妙に木々の緑も揺れて、
ここで過ごすときくらい、
訪れて下さるみなさまも、
そんな
感覚でひとときを過ごしながら、
“お寺時間”を
楽しんでいただけたならと思います。
普段は、
追いかけられるように時間とつき合い、
決まったはじまりと
決まった終わりの範囲で結果を求められて、
動かされている日常。
そんな慌ただしい
日々を忘れるために神社仏閣は存在しております。
どうか、
ご近所にあります
聖域に足をおはこびになって、
ちょっと
清々しさに染まる…
あなたでいてほしいなと願っております。
いよいよ
秋の季節も深まってまいります。
ジッと見られるのは恥ずかしいと、
頬を赤らめるように
葉っぱも紅く色づいてくることでしょう。
いまの私を探してみてと、
彩りの季節は、
たくさんの画家を風に乗せ、
日本列島隅々に送りながら
自然のキャンバスに思う存分、
『作品を描け』
と自由な時間を与えているのかもしれません。
私が飾った風鈴も、
騒音や邪魔にならないように響きわたり、
自然界の画家たちの訪れを教えてくれています。
裏庭には、
紅葉(もみじ)が植えてあり、
毎年、
秋の季節が深まると奇麗な景色を見せてくれます。
暖冬の近年、
本格的な秋も暖かさに負けて、
冷えた空気と澄んだ空間を遠のかせて、
知らず知らず秋が終わり、
白い精霊たちが北の山々からおりてくるのです。
だからこそ、
いま、
秋を楽しめと、
そして、
『小さい秋みつけた』が…
あなたのやさしさに寄り添いたいと、
見えないところで
染まりはじめていることでしょう。
さあ、
見つけましたか?
あなたに気づいてほしいと待っている
小さな存在を。
枯れてしまって落ち葉となれば、
人知れず消えていきます。
それがわかっているから、
木々の緑は、
恥ずかしがり屋だけど、
さがしやすいよう
目立つために紅く燃えて、
待ち人来たらずの淋しさに耐えているのです。
そう思うと
わざわざ遠くまででかけなくても、
傍らの染まりし葉っぱ一枚…
そっと
見つけてあげる意味が生まれるのです。
そんなときは、
声をかけてあげてください、
『美しいよ』とね。
その瞬間、
あなたもやさしくなれますから。
あと、
『紅葉だけが秋じゃないよ』
と芒も忘れないでね…とね…和尚のひとりごとでした。
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