和尚のひとりごと “君住む街の地図”
秋の長雨と曇り空がつづき、
この街中も
乾いていた大地に潤いがはこばれて、
すっかり
みずみずしい肌のように
喜びを伝えております。
門前を流れます
清き加茂川も京都の思いを伝え、
小京都と呼ばれる地名に高い空を映しながら、
今日もゆるやかに
南へと向かっております。
大きな景色で街を見ると
大きな形に過ぎませんが、
小さく細かく覗いてみますと、
その街に残る地名や旧名、
残された神社仏閣に
深き歴史を見つけることができます。
たとえば、
この旧東海道見付宿。
はるか古代より
栄え受け継がれてきた大地。
あちらこちらに残ります古墳の多さが、
静岡県内随一の大きさと数が物語るよう、
遙か昔より
住みやすいところと教えてくれます。
また、
街に目を向けますと
門前の加茂川をはじめ、
古都京都を
思い浮かべることができる地名が
彼処に残されております。
東海道をはさんで南北に通る細い路地。
そのたくさんの路地は小路(しょうじ)と親しく呼ばれ、
京都の“こうじ”の如く
その先にはどんな景色が待っていて、
私を誘うのだろうと期待がふくらむ細い道。
また、
化粧坂に追分、
古都を懐かしく思う
名前が心に安らぎを伝えます。
地元だから細かく、
あちらへ、
こちらへ歩くことがないから
知らないことも数多く。
私たちが生きるということは、
先代より受け継いだものであり、
そして
まだ見ぬ先のひとたちからあずかったということ。
そのあずかりものを如何に成長させて、
大切に育み残していけるのか。
ひとの営みなど
あっという間の瞬時で消えてしまいます。
やがて
私たちも過去の存在となり、
遙か遠くの歴史として
いつかは忘れられていくのかもしれません。
そう思いますと
街に残された地名や謂われ、
目に見える形は、
たいしたものだと感じませんか?
忘れられることなく、
長い時を越えていまもそこにある存在。
あなたの住む街にも
きっとなにかが隠れていますよ。
いいえ、
堂々としているのに、
あなたが…
気がつかないから
隠れているように感じる。
秋は、
わたしたちを青空の下へと誘います。
秋色に染まる
地元の街並みを訪ねながら、
“わたし”という存在を感じてみませんか。
わたしの住む街からわたしの澄む街へ。
心澄ませる透明感、
スッキリして、
ほら濁りなく遠くまで見わたせますよ。
まずは、
『君住む街の地図』
をひろげてみましょう。
そして、
いいものを発見したなら、
だれかに教えてあげましょう。
『わたしの住む街…だから好きなんだ。
一度…遊びにこないかい?
きみにとっても逢いたいんだ』
…とね…和尚のひとりごとでした。
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