和尚のひとりごと “静岡県立磐田西高等学校…今日…入学式をむかえた新入学生のみなさんへ”
新一年生のみなさんへ
拝啓
気の早い春の妖精たちが訪れた三月、
今年の静岡県立磐田西高等学校の入学式に
桜の花は咲いているだろうかと、
心配しておりました。
でも、
磐田市内を見まわしますと、
やっぱり桜の花は、
今日のみなさんの晴れ姿を飾ってくれています。
青い空の下、
可憐な花びらを風に揺らすその姿に
『ありがとう』
と心で声をかけていた私です。
そんな春爛漫の良き日、
磐田西高等学校に入学されたみなさん、
ご入学おめでとうございます。
本来ですと、
今日、
新しいステージの扉を開いた
みなさまの笑顔に出会えるのを
心から楽しみにしておりましたが、
新型コロナウイルスによる
感染拡大が止まらない現状をうけて、
校長先生をはじめ諸先生方が話し合い、
今日の入学式を迎えたみなさんの命を守ることを第一として、
例年とはちがう入学式のはこびとなりました。
とても残念ではありますが、
心晴れやかなみなさまの様子を
離れたところから思い浮かべております。
さて、
ここ磐田市は歴史深きところとして古来より栄え、
とくに一千二百年前の天平時代には、
聖武天皇の命により
国分寺が建立され遠江国の政治経済の中心地でありました。
いまでは海岸線も遠くとなり、
天平時代当時の面影は失われてしまいましたが、
磐田西高等学校があります
西の大地から見下ろす東には、
太平洋からはいりこんだ入り海、
大乃浦(おおのうら)と呼ばれた海がひろがり、
現在の磐田市今之浦地区一帯が長い白砂が続き、
寄せてはかえす波音が聞こえる
風光明媚な海の景勝地でありました。
きっと海鳥たちが羽ばたき、
青い海のうえに自由な絵を描いていたことでしょう。
時は流れ戦国時代、
若き徳川家康公は、
この地を天下統一の志のはじまり、
その拠点にしようと城づくりをはじめました。
しかし城づくりの途中、
甲斐の武田信玄公との合戦にそなえ、
この地での築城を見なおして浜松へ拠点を移します。
いま、
みなさんは、
その若き家康公が天下統一の夢を見て
拠点のはじまりとした同じ大地に立っておられます。
そして、
みなさんは、
おひとりおひとり
これからの令和の時代をつくる主人公です。
のちに天下統一を果たした若き徳川家康公の如く、
勉強に友情に、
そして部活動に、
志高くそれぞれの夢に向かって、
人生に一度きりの高校生活を楽しんでほしいと思います。
青春時代まっただ中、
きっと素晴らしい友情を育み、
かけがえのない友だちもできることでしょう。
長い人生を振りかえったとき、
磐田西高等学校の三年間が一番充実していたと思える、
そのはじまりになります
高校生活が明日から待っていると、
私は信じております。
高校生活は、
あっという間の三年間です。
みなさんが心に描く自由な夢は、
けっしてひとつではありません。
右へ行くか左へ行くか、
または引きかえすのが正しいか。
大いに悩み、
大いに考え、
そして自分の心の声を信じて、
広い視野でえらんだその道を歩んでください。
そんなみなさんを、
私たち磐田西高等学校PTAは全力で支え、
応援してまいります。
磐田西高等学校をえらんでくださって
“ありがとう”。
この学校をえらんで良かったと思えるものがここには、
たくさんあります。
校庭は小さくても大きな可能性があります。
人生の先輩として、
また学問の師として寄り添う先生たちがおられます。
そしてなによりも
優しい上級生のみなさんが迎えてくださり、
笑顔がいっぱい溢れる時間を共にすることでしょう。
今日まで
いろいろなことがあったかもしれません。
また、
いまもその心配や悲しみを抱えている
あなたがいるのかもしれません。
でも悲しみや辛さを知っているからこそ、
それを乗り越えた人は、
まわりの人に
優(やさ)しくできる優(すぐ)れた人になれます。
どうか、
互いに思いやりをもって、
互いに理解し合える絆を見つける…
学びのあなたであることを願い、
その成長と笑顔に心からエールを贈ります。
ご入学、おめでとうございます。
敬具
令和二年四月八日
静岡県立磐田西高等学校PTA 会長 下 村 恒
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