和尚のひとりごと “アホな話だけは…相変わらずつき合えるからさ”
電車に揺られて通った四年間。
毎日のようにその姿を見て、
言葉を交わさなくともわかり合えた懐かしい友よ、
あれから一昔、
一昔、
一昔、
そして一昔が過ぎていこうとしています。
あの頃の思い出をその心に残して、
あれから君はどんな人生を歩み、
どんな経験をして、
どんな人たちと支えあって、
いまを生きているでしょうか。
あの頃の大学の校舎や教室は記憶のなかに刻まれ、
みんなが寄れば賑やかだった声を、
その心が覚えているでしょうか。
『アホな話をしたよね』
卒業してあっという間に時は過ぎゆき、
君も一途な恋をして、
失恋をして、
そしてまた恋をして父となり母となり、
きっと、
信頼される素敵ないい大人になっていることでしょう。
法灯を受け継いで立派な住職の君もいるだろう。
会社を定年、
また還暦を迎えた君もいるだろう。
何処かの高等学校で教鞭をとっている君もいるだろう。
働き盛りで家庭を支えている君もいるだろう。
新しい命をつないで、
もうおばあちゃんになっている君もいるだろう。
秋風がはこぶ便りに去りゆく夏、
今日も、
みんなで出かけた琵琶湖は、
いまも変わらぬ波音を響かせて、
優しい風と戯れ
煌めいているにちがいないと信じている私です。
ただ寂しかったのは、
何年か前、
久しぶりに訪ねたあの場所に
もうその頃の景色が無かったこと。
砂浜は道となり、
行き交う車が先を急ぎながら走り去っていきます。
まるで過ぎ去った時間のように。
そのなかにあって
いまも変わらぬのは琵琶湖大橋、
何故か嬉しかったよ。
京都の街はいまも学生たちを見守り、
平安より歴史を重ねています。
時代は移ろい、
古都の街並みが変わろうとも、
けっして君たちのことは忘れない。
だから、
私からひとつお願いがあります。
『どうか、どうか、どうか、
いまもあの頃と変わらぬ笑顔で、
元気に過ごしていてください』
いまは離れてしまったけど、
私もなんとか生きています。
写真に写る君が、
あの時の君として生きていたように、
今日も
今日の私を生きています…
だから生きていておくれ…懐かしい友よ。
アホな話だけは…相変わらずつき合えるからさ…和尚のひとりごとでした。
コメント
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さろもんさん、
お便りありがとうございました。みんな、
心の何処かに思い出としての仲間たちがいます。
それは、
確かな記憶として刻まれている私だけの思い出、
ふと、
あの頃の私を思いださせてくれる形無き存在であると、
私は思っております。だから忘れることはできない。
そのときのあなた自身がいたからいまがあります。
何年か先、
今日を思いだすとき、
生きていて良かったと思える、
さろもんさんでいてくださいね。生きるって…たいへんですもの、
でも、
生きるということは、
その思い出をこうして語れる…
立派なお役を持っておられるということでもあります。そのお役の存在だけでも、
これからも生きる価値があります。昔の仲間たちに感謝、
いいお仲間との…
あの頃があって良かったですね。和尚
Facebookの広告に何気に表示されてたリンクから訪れました。今はもう疎遠ですが私にも昔の仲間や友達がいたんだなぁって思い出しました。色々あって涙も出なくなっていましたが、“アホな話だけは…相変わらずつき合えるからさ”を見て少しだけ涙が出ました。もう少し生きてみようと思います。ありがとうございます。