和尚のひとりごと “仏さまの知恵と神さまの知恵”
去りゆく八月を見送ると、
九月早々には、
西光寺があります見付宿を中心とした
国指定無形民族文化財見付天神裸祭の一連神事がはじまります。
宗教上の違いで携わっておりませんが、
旧東海道見付宿に住む人たちにとっては、
心もカラダも熱く燃える数日間です。
夜になりますと各町内からは勇ましい若者たちが練り、
裸同士、
カラダをぶつけ合う迫力と荘厳さが旧宿場の街道をうめます。
古老の話ですと
元々は明け方まで続けた神事ではありますが、
いまは諸般の事情で午前二時頃までには静かさがもどってまいります。
何百年前から受け継がれてきた伝統、
神に仕える喜びを
一夜にくり広げられてきましたその勇姿を見たくて、
当日は、
たくさんのみなさまが旧見付宿へと足をはこばれます。
ただ、
何処の街でも同じですが、
伝承する難しさ、
そして若者の減少、
少子化の波は人口減少を生むばかりでは無く、
こうした伝統を守る最大の課題へとなっていくことでしょう。
各町内では、
子どもたちによりますお囃子も披露されますが、
すべての町内でとはいきません。
お子さんがいない町内も普通となりつつあります。
若者は巣立ち都会へと。
残った両親は高齢化。
お祭りだからと
もどって来る若い人たちがどれだけおられるのか。
観光客を惹きつける祭りの前に、
地元の若者たちを惹きつける魅力が無ければいけません。
伝統も大切ですが、
時代に合わせて変えていけることが許される部分については、
現代っ子の思いに
沿ったものであることが望ましいと思うのです。
仏さまに知恵があるように、
神さまにも知恵があるはずです。
その知恵を授かり守っていくのも氏子としての使命ではないでしょうか。
見付に住めばすべて氏子、
広い宗教観の時代にあってそれも遠くの話。
御利益を求める現代人になにを与えてくれるのか、
神事に参加することによる
その+αのいいことをもっと全面に出して参加を呼びかける、
また、
神事を見学された人たちにも素敵な御利益を。
いまや
見返りを求める心を逆手にとって、
新たなアイデアが生みだされますことを、
同じ宗教家として感じている私です。
そして、
裸祭が終われば本格的な秋の風景に見える街並み、
それが不思議です…和尚のひとりごとでした。
コメント
和尚のひとりごと “仏さまの知恵と神さまの知恵”のご感想やコメントをお寄せください。