和尚のひとりごと “息子がお世話になっている人たちのお役にたててうれしい”
新しい七日間がはじまりました。
曇り空の朝を迎えましたが、
雨が降りだすこともなく、
ときおり吹く風も涼しく感じる…若干湿気高めの一日でした。
平日の月曜日ということで、
お参りに訪れる人も少なく、
うちの仏さまものんびりできたのではないでしょうか。
これがお休みになりますと、
訪れる人が何組もありますので、
それぞれの願い事をお聞きになっておられることを思いますと、
仏さま自身の時間を過ごされていたのではないでしょうか。
さて、
あと数日したら開催されますイベントがあります。
磐田市にありました国府の象徴、
国分寺をテーマーとした“国分寺まつり”。
遙か一千二百年前、
ここ磐田市見付には遠江の国府が置かれ、
七重の塔がそびえていた国分寺が建立されていました。
そして、
その国分寺を望むように大きな入り海…
大乃浦が広がっていた風光明媚な景勝地でもありました。
いまでは、
その静かな波をよせてはかえしていた
砂浜のつづく海岸線も無くなり、
遠くへ去っていった海の跡はやがて大きなため池に変わり、
近世にはいって埋め立てられた現在は、
商業地となり、
その面影も残されておりません。
…いまは遠い歴史のなかへと消えてしまいました。
そんな美しき
よき時代をよみがえらせようとはじまった国分寺まつり、
いまでは、
すっかり市内のイベントのひとつとして知名度をあげてきました。
その実行委員会のメンバーのみなさまもよく存じあげている方々、
企画から準備、
そして本番と、
普段の仕事をこなしながらボランティアで進めておられます。
そんなつながりのご縁でしょうか、
毎年西光寺からお貸しするものがあります。
ひとつは、吹き流し。
ひとつは、五色の幕。
とくに五色の幕は、私の母親の手作りです。
父親のお寺が新築されたとき、
その本堂を飾った母親の心宿る幕です。
いまでは、
その母親もアルツハイマー。
普段のことをこなせているようで、
やっぱり、
変わってしまったところもあります。
この幕のことを尋ねたなら、
きっと昔のことはよく記憶に残っていますから
話はできると思います。
でも、
数分したら尋ねたことさえ忘れているでしょう。
幕を手作りしたころの母親とは変わってしまいましたが、
この五色の幕は、
古ぼけても
仏さまのために時間をかけて作りあげた
真心と信仰の心がこもっております。
いまは、
建物からステージを飾る幕として、
ちがう形でつかっていただいていますが、
お袋のことです…
『息子がお世話になっている人たちのお役にたててうれしい』
と話すはずです。
それが故郷滋賀県に住む…私の母親です、
今年四月…九十歳になりました…和尚のひとりごとでした。
コメント
和尚のひとりごと “息子がお世話になっている人たちのお役にたててうれしい”のご感想やコメントをお寄せください。