和尚のひとりごと ”とってもいいでしょう、いいですね”
月曜日の朝、
曇り空のなか境内が明けてきました。
昨日のよいお天気の暑さもおさまり、
ひとときの涼しさが訪れるこの時期の早朝です。
時間が進むにつれ薄曇りのなかをすり抜けるように、
お日さまは日差しをとどけ気温も上昇、
少しの風を心待ちする日中の様子です。
そのなかをご夫婦で札所めぐりに訪れて下さいました。
西光寺にお祀りしております薬師如来さまのご参拝です。
この静岡県西部、
遠州地方にございます遠江四十九薬師霊場のお寺さまを、
お二人でご参拝されております。
さて、
私にはひとつ夢というか、
やりとげてみたいと思うことがあります。
それは四国八十八ヶ所の札所めぐりです。
できることなら叶えてみたいと思ってはおりますが、
和尚さんという仕事柄、
いつ何時、仕事がはいるかわからないところがあります。
数日の予定ならさっと出かけてもできますが、
どうせ叶うものなら
心ゆったりが札所めぐりの心持ちではないかと思います。
よくツアーでおまわりになる方もたくさんおられますが、
どうしても時間に追われてしまうと思うのです。
もちろんツアーが悪いというのではなく、
それぞれの求める巡拝手段でまわってみることが
おもしろみを増すと思うのです。
そこには人と人、仏と人、風景と人、
いろいろな出来事が展開していくものと。
それを楽しんでみたいなというのが私です。
お寺さまごとに
かもし出されている雰囲気にも違いがあるでしょうから、
その違いに出会える、
発見してまわる小さな修行旅行が
巡拝めぐりだろうなと思います。
慌ただしさの生活を離れ、
じっくりと自分自身と向き合う、
そのためにはゆったり感がないといけないんじゃないかと。
まぁ、あくまでも私個人的な思いではありますが、
個人的であっていいと思います。
いきなりでっかく
『四国』
とは言わず、
周辺にもいろいろな札所があります。
「近くをまわってみたら」
と言われそうですが、
やっぱり
「でっかく四国」
と言いたい私、
このあたりが頑固者と言われる所以でしょうか。
みなさまも、
札所のすべてではなく、
数ヶ寺まわってみられると、
近くにいろいろな発見、
知らなかった良さとの出会いがあるかもしれません。
私の場合、
奥さまは運動不足で体力がありませんので、
「四国の一ヶ寺一ヶ寺、数年かけて歩いていくぞ」
と誘っても
「ひとりで行ってきたら」
と断られそうですが…。
車もいいのですが、
自分探しなら歩きが一番と頑固者の私は思っています。
今日、訪れて下さったご夫婦、
「個人でゆっくりとまわるのが好き、慌ただしい団体はいやなんです」
とご主人。
縁側にしばし腰を下ろし、
その言葉通りゆっくりされておりました。
「正面のクスノキは、その背中につぎの子孫の枝を育てながら生きているんですよ」
と私。
「うちでは、子育て失敗したな」
と笑顔でご主人。
「また寄らせていただきます」
その言葉を境内に残され、
目的地、つぎの札所に向かわれました。
お二人のお背中、
「とってもいいでしょう、いいですね」…和尚のひとりごとでした。
追伸
先週末にご用意させていただいた、
ご参拝ゆっくり用の机、
今日、お二人のお嬢さんが、
お参りのあと
飲み物と軽食をされながらご利用されておりました。
…ありがたいわ、自分に「やったね」
これも
「とってもいいでしょう、いいですね」
コメント
和尚のひとりごと ”とってもいいでしょう、いいですね”のご感想やコメントをお寄せください。