和尚のひとりごと “ふたたびここに帰ってくる私”
三月も雨の日を迎えて、
濡れた参道が美しく光っております。
雨音は、
清かな波紋を描いて、
揺れる波に、
もっともっと
大きくひろがりたいと願い、
空からたどり着いた雨粒がうれしそうに
跳ねては踊っております。
この雨が遠ざかれば、
街中の桜の花たちが開花して、
とっても急いで
満開の景色に染めていく日本列島でしょうか。
ちょうど一週間前は、
奈良県の明日香村をめざして
大阪に向かっておりました。
一晩泊まって、
朝一番、
始発に乗り、
大阪市内から飛鳥駅へ…が効率いいだろうと考えて、
あべのハルカスの近くで宿を予約しました。
明日香村は、
一年ぶりに訪れる原風景です。
日曜日、
残された歴史的景観地区の風は、
古のひとたちに触れられる心の時間。
棚田もつづき、
丘の向こうにまた丘が。
田圃が水で満たされている頃は、
きっと美しく
生きた風景が広がっていることでしょうと、
私もカラダと心をあずけて
細い道を楽しんでまいりました。
観光客のみなさまも
ゆったりと時間を過ごしながら、
蒼い空に
お日さまが浮かぶ下を散策されておりました。
有名な古墳も笑顔で迎えてくれて、
そこには、
言葉はありませんが、
その言葉を聞こうとする私でありたいと思います。
周りの木々の緑や、
遠くに臨む奈良の都は、
ここに
ひとびとの営みがあったことを教えてくれて、
いまも、
変わらず
また帰っておいでと迎えてくれる原風景。
そのやさしさと
地元に生きるひとたちとのふれあいで、
一人の旅もいいものだと、
あらためて思いますね。
もちろん、
仲間がいたなら楽しいかもしれませんが、
時々は、
それより大切な時間があると信じて、
ひとりの旅をつづけている私です。
なにもないところだからこそ、
落ちついて、
癒やされるひとときに、
つつまれる贅沢さ。
きっと、
一年後、
ふたたびここに帰ってくる私がいるだろうと、
とりあえず、
心のスケジュール帳に
予定を書きこんだ、
帰りの列車に揺れて心地よい私です。
帰りは、
京都駅で寄り道。
おてんとうさまが高い時間、
カウンターが似合う私になって、
グラスをかたむける安らぎも、
ひとりの醍醐味なのです。
酔った私を乗せて、
新幹線は東へと、
浜松駅経由磐田駅到着、
もう一軒、
馴染みのお店に寄り道、
透明のグラスに浮かぶ
氷を眺めながらグラスをかたむけた、
一週間前の私なのです…和尚のひとりごとでした。
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