和尚のひとりごと “我が意思の行動も修行なのです”
秋らしい景色と
雰囲気を見つけることが楽しい今日この頃。
お日さまの明かりもひとときを思えば、
やはり
季節の移ろいを感じる風と戯れているようです。
気分的に哀愁につつまれるこの季節、
いろいろなことを思いだす夜の時間でもあります。
ひとりごとにも載せましたが私の回想、
静岡県にご縁が生まれた経緯などをしたためて、
末っ子の娘が縁を結んでくれた
高等学校の生徒さんたちへ伝えることができました。
今回のひとりごとでは、
もう少し思いだしながら
書いてみることにいたしましょう。
いま、
頭に浮かんだあの頃…ご本山で修行に励んだ一年間です。
四年制大学を卒業して、
そのまま神奈川県藤沢市にあります
時宗(じしゅう)の総本山遊行寺(ゆぎょうじ)へと修行にあがりました。
時宗は小さな宗派、
ご本山の名前も知らない方々が多いことでしょう。
でも、
一年に一度、
箱根駅伝の中継で紹介されますので
名前くらいはご存じの方もおられるかもしれません。
さて、
私が本山にあがったときは、
二十二歳、
父親と母親も本山で合流、
一年間、
俗世間から離れて
修行にはいる息子の背中を見送ってくれました。
思いだしますと、
あの頃長髪でパーマをあてていた私は、
最寄りの駅である藤沢駅をおりて
途中の理髪店で剃髪、
そして本山へと向かったなと。
翌日、
午前五時のお勤めをはじまりとして
本山の生活をスタートさせて一年間、
過ぎてみればあっという間の時間でした。
修行の合間、
修行生同士でソフトボールをしたこと、
ご本山があります
地元の街のバレーボール選抜チームに選ばれて
藤沢市民大会に出場したこと、
そうそう…藤沢市民陸上大会にも出場しました。
僧侶の修行だけではなく、
地元とのつながりの一助にも
貢献できたのが思いだされます。
夜になると、
抜けだして街に飲みに出かけたり、
カラオケを楽しんだり、
また車で湘南…
深夜江ノ島まで車を運転して
ドライブに出かけたこともありました。
真面目に修行を積む僧侶のみなさまを思えば、
私のようなものが衣を着て
お経を勤めるのも如何なものなのかと思いますが、
辛い修行のなか、
楽しく有意義に
生きることの大切さを学ばせていただいた、
一年でもありました。
そんな修業時代を過ごした私ですから
かたい話よりやわらかい話のほうが好き。
やわらかい言葉で会話をし、
聞く耳を持って相手の悩み事をちゃんと聞いて、
その生き方を受けいれ、
みとめてあげられる私であると思います。
人柄とか人間性とか性格とか、
修行を終えても僧侶も人、
なかなかそれぞれの性格は変わらぬものです。
いい意味で言えば優しい、
裏を返せばいろいろ経験してきた私。
そんな私ではありますが、
偉いことは偉い和尚さまにお任せして私は私、
私という僧侶で
これからも生きていきたいと思います。
そして、
人に寄り添い
ひとりでも多くのみなさまとのご縁を
結んでいけたならと思います。
修業時代の私は、
いまの私を育んでくれた、
やっぱり僧侶の私でもありました。
けっして無駄な時間では無く、
あのときの行動も
まちがいなく楽しい生き方の勲章、
いまの私があるのもあのときの私のお陰です。
楽しい時間は、
自分自身がつくればもっと楽しくなります。
それもまた修行だと思いますね。
だからご本山での一年間、
朝昼晩深夜…
すべての時間と経験、
我が意思の行動も修行なのです。
時は流れていまも変わらぬ私…
そして、
あなたの人生も一度きりです。
ほら、
また一生に一度…
今年だけの…
あなたの八月の時間が去っていきますよ…和尚のひとりごとでした。
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